シズヲ

ドラゴンボール超 スーパーヒーローのシズヲのレビュー・感想・評価

3.7
当初は「ブロリーがあんだけ大暴れした後に今更レッドリボン軍と人造人間ってのはよォ……ちょっと格落ち感がしねぇか?」と思ってしまったものの、蓋を開けてみればちゃんと差別化されてて結構楽しい。とにかくZから進化したバトル要素の特盛だった『ブロリー』と比べると、鳥山明らしいユーモアを目立たせつつ要所要所でファンサービス的要素を押さえていた印象。CGのアニメーションは何だかんだで馴染むし、『ブロリー』とは少々趣の異なるバトル描写もそれなりに楽しい。

本作は半分くらいピッコロさん萌えの映画で(?)、悟飯と共に主役を担っているだけにかっこいいピッコロさんから愉快なピッコロさんまで色々と見られる。ついでに映画の進行もきっちりこなしてくれる。パンちゃんの面倒を見るピッコロさんはとても微笑ましくて、悟飯とピッコロさんの距離感からも付き合いの長さが伺えて何だかしみじみしてしまう。悟空やベジータが凄まじい次元の実力になった今、戦士としてのピッコロさんに再びスポットライトが当てられたことも何だか嬉しい。

人造人間が題材ということもあり、フリーザ復活以降は影が薄くなっていた人造人間編を意識した要素が見られたのが嬉しい。あいつの復活はたまげた。明らかに超サイヤ人2覚醒を意識した描写やラディッツ戦を連想させるトドメの攻撃など、過去のエピソードのオマージュ的描写も好き。かつては「実力はNo.1でもあいつはまだ子供だ」と悟空に怒っていたピッコロさんだったけど、今回はピッコロさんが覚醒を促す側に回っていたことに彼の父性の変化や関係性の変移を感じられる。

メインの敵役となるガンマ1号2号も対照的かつ憎めないキャラクター性が中々に良くて、どことなくグレートサイヤマンを連想させるような風貌も好き。ただ敵側の普段の掛け合いはマゼンタ総帥とDr.ヘドが殆ど担っているし(こやつらも憎めないけどね)、終盤になるとクソでかいセルとの攻防が映画の印象を殆ど持っていくので、出来ればガンマ1号2号の描写がもっと欲しかった。悟空サイドみたいな本筋に関係ない描写が多少の尺を食っていたことも相俟って、ちゃんと好きになれる二人のキャラ造形を立ち位置の面で活かしきれてなかった感がある。ラストの展開に持っていくならば尚更二人をもう少し目立たせてほしかった。とはいえ主役は悟飯とピッコロさんなので、あくまでそっちに焦点当てるということ自体はわかるっちゃわかる。そして冒頭とラストをパンちゃんの成長が繋げる構成すき。
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