“どうしたらその生き方ができる。”
50年代イギリスで恋に落ちたトム(ハリー・スタイルズ)とパトリック(デヴィッド・ドーソン)。当時同性愛は犯罪であり、巡査であるトムは女性と結婚し、パトリックとの関係を隠した。
美しかった、それと同時に、痛かった。誰が主役か、誰の目線かで物語の捉え方は変わりそうだけれど、結局だれも悪くないというのが率直な感想。若かりし時代と歳をとった現在が交互に映されることで、当時は嘘に嘘を重ねて皆傷ついたのは仕方ない環境だったということと同時に、なぜ、あの瞬間の掛け替えのない時間を無駄にしてしまったのかという虚無感のようなものが押し寄せる。そして時代が変わった今でさえ、このような問題を抱えながら押し殺している人は沢山いるんだろうとも思う。変わる事も変える事もできない。ただ“フリをする”ことならできる。自分自身に嘘をついている事すら塗りつぶして“頼むからやめてくれ”というトムのセリフ。
時代背景や奥さんの重要な立ち位置も含め“ブローク・バックマウンテン”に似ているけど、結末含め個人的にはこちらの方が好きだった。ハリー・スタイルズは何をしても絵になる。