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こちらあみ子のtokiwa3256のレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
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『怪物』を観たがとりあえず保留^ ^

で、映画館ではあえて鑑賞をしなかったこの作品をようやくwowowで観たのでこちらのレビューを。

今村夏子さんの原作を既読済みなのは、『怪物』と同じ脚本の方の『花束みたいな恋をした』の中で彼女の小説(同作品に収録の『ピクニック』)が印象的に取り上げられていたから。自分以外にもこんな人は多いのかもしれない。
原作を既読済みの作品って評価が難しいんだよなぁ。特に非常に優れた作品の場合はその世界観にハマるので、自らで登場人物のキャラクターを想像で確立させてしまっているから。

そんなわけでこの『こちらあみ子』ですが、これが初監督作品とは思えないほどの秀逸な映画だったと思う。特に原作と内容を変更したラストシーンは凄く映画的で良かった。あの女の子は性別を勘違いしていた妹だよね。

登場人物がみんなどこか歪んでいるんだけど、俺がいちばん許せないのは親父だわな。「優しさ」の意味を履き違えている醜悪さ。井浦新さんが見事に演じておられたけど、外見がカッコ良すぎるかな。
子役の子達もみんな頑張っていたと思う。特に主演の女の子はオーディションで唯一無二の存在感だったとのことだが、彼女のキャスティングが全てかもしれない。

ただ、これは本当に仕方がないことなんだけれど、個人的に子役全ての日本語の台詞回しにずいぶんとノイズを感じてしまった。誰しもが芦田愛菜さんのようにできるわけではない。(『怪物』の子役ふたりはとても良かったです)

思うに、この作品は欧州の映画祭のコンペに出すべきだった気がする。日本語そのものにノイズを感じない外国で凄く評価されたんじゃないかな? 例えばキアロスタミ監督の名作『友だちのうちはどこ?』だって、ペルシア語を完璧に理解出来ていたのならば、もしかしたら受ける印象が違っていたかもしれない。

と、余計な戯言は置いておいて
「やっぱり劇場で観れば良かった」と
少しだけ後悔。。
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