想像力が豊かで、好奇心が旺盛で、誰よりもピュアで、だからこそまわりの空気が読めないあみ子。
お父さんにもらったトランシーバーに向かって彼女は何度も語りかける。
「応答せよ、応答せよ、こちらあみ子。」
彼女にはわからないことばかりだから、何度も何度も語りかける。
そんなあみ子に母親は心を閉ざし、父親は「あみ子にはわからないよ。」と言い放つ。
唯一、あみ子にお母さんがお母さんになるってどういうことか教えてくれたやさしいお兄ちゃんは不良になってどこかへ行ってしまった。
あみ子への家族を初め、まわりの皆の接し方がリアルすぎて胸が痛かったが、あみ子が恐れるおばけの正体からお兄ちゃんがあみ子を守ってくれたこと、長い付き合いの意識もしていなかったクラスメイトがあみ子を見ていてくれたことは小さな救いだったのかもしれない。
誰も応答してくれなくても、誰も助けてくれなくても。
居心地の良い想像の世界には手をふって。
「応答せよ、応答せよ、こちらあみ子。」
誰かに語りかけながら、彼女は今日も自分を生きてゆく。