カレス

こちらあみ子のカレスのレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
3.7

広島の山と海
昼寝しているあみ子は美しい絵画

評判がいいしジャケットもウケるし、共感レビューが多いのでU-NEXTで課金して鑑賞しました。

あみ子は変な女の子で友だちはいないし、兄も遊んでくれない。両親もあみ子を理解できない。あみ子は誰にも分かってもらえないのだが、本人はたぶんそのことに気がついていない。


以下ネタバレ



104分の映画だが、それでも長いと感じた。静的な描写であみ子の小学生から高校生になるまでが描かれ、あみ子は小学生、中学生、高校生と同じ役者なので、この映画はとぼけたシリアスでない印象を受ける。
最後には親に捨てられ祖母の家に預けられてしまうのでコメディにはならず、涙を誘う大掛かりな悲劇にもしない。それでとぼけた感じに行き着いたのだと思う。
広島のあみ子居住地の様子はよく分かった。会話も方言っぽかった。あみ子の物語に広島のあの風景は映画としてどれくらいの意味があるのか分からないが、ヘビやカエルよりもっとじっくりと映して欲しかった。
島根県が舞台の「天然コケッコー」(2007)は、題材が思春期とか青い恋愛なので比べるのは気が引けるが、こちらもとぼけた感じで、いなかの景色も音も良かった。私の好きな映画です。

変な幽霊の一団は原作にはないし不要だ。
変な女の子だから親も見捨ててしまう、そういう冷酷な話なので楽しく鑑賞はできないが、あみ子役の大沢 一菜(おおさわ かな)が見応えあった。海を背景にしたラストシーンは良いと思う。
祖母宅からスキップで海まで行く。あのスキップは正しくないよね。祖母からも邪険にされる展開も考えられるが、そうではなく祖母には理解され優しくされるあみ子の将来を想像したい。

U-NEXTは日本のUSENが経営母体だけあって日本の作品が多いことに気がついた。「天然コケッコー」があったのが嬉しい。他に「横道世之介」(2012)は青春もの。「ただ、君を愛してる」(2006)は恋愛もの。両方大学1年生の話、見たことあっていい映画だと思う。両方ちょっと寂しいけどね、君をの宮崎あおいの童顔が忘れられないのよ。
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