春21号

こちらあみ子の春21号のレビュー・感想・評価

こちらあみ子(2022年製作の映画)
4.2
まだ咀嚼できてませんが…

Netflixに上がっていたかので拝見しました。
主人公のアミコとそれ以外の軋轢をひたすら見せられる約2時間
普通?と言うと違うと思いますがこの手の他の映画のように最後にはキチンと折り合いがついて救いが明瞭にある終わり方をすると思っていたのですが、そうではなかったですね…それこそが本作のいい点だとも思うのですが

救いを描くと言うことは映画の大切な使命の一つだと思います。
ですが、そこに囚われすぎるとまた問題でそれは映画を鏡のように見るしかない人にとって時に救いが無ければいけないのか?と言うことにもなりかねません
人は明瞭な救いがなくても生きていける筈だ。と言うメッセージを排除してしまう可能性もあります。

この作品も救いがないわけではありません
あの同級生の男の子や保健室の先生など
多分理解者?と呼べるような人もいましたし
でもこの作品は安直にその人達を救いにしない

誰が悪いわけでもない、誰が良いわけでもない、明確に何かを誰にも背負わせていないでもだからと言って誰の事も甘えさせていない
このバランスは中々珍しい

ラストカット生と死が曖昧な彼女が行うアクションにグッとくる。
生きる事を選んだ。そして聞こえる声

大胆な映画的な嘘を用いつつこれ以上ないほど切実にこの世を描いている。
まるで世界に押し込まられたようなアングル、印象的な音使い、誰が誰を観ているのか?観てないのか?
そう言う一つ一つの演出が雄弁に物語を語っている。これぞ映画的世界

最高でした。
春21号

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