見ていて悲しくなる映画だった。
主人公は前向きではあるんだけれど、明らかに周りの人とは違っていて、けれど周囲の人がそれを理解してあげる訳でも手助けしてくれるわけでもない。トランシーバーでもしもし、こちらあみこといくら呼び掛けても応答がないといった表現は明らかに誰もあみこに手を差し伸べてくれないといった構図を喩えていた。
作中では名言されていないが、あみこはasdなのではないかと思った。最後の方にあった、周囲の人の接し方でなんとなく自分は他の人とは違うということは自覚していて、でも自分がどう他の人と違うかはわからないからどこが気持ち悪いの？？と坊主の同級生に聞くシーンはとても切なくなる。そこで坊主頭の子があみこの他の人と違うところを本人に伝えず、俺の秘密だって答えたのはこの映画唯一の良心に思えた。
個人的な解釈にはなるが、作中ずっと出てくるお化けたちは死のメタファーだったのではないかと思った。周囲の誰にも理解されず、孤独なあみこには常に死＝自殺の考えがつき纏っている。
しかしあみこは前向きではあるから、常にお化けなんてないさと死を否定し続け、ラストで小船に乗ったお化けたちが海の向こう(あの世)から手招きしていても、あみこは手を振って別れを告げ、前向きに生き続けることを選択したのだと解釈した。
前向きに生き続けることを選択したあみこにはこれからいい人生が待っていると思いたい。
