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ムーンライト・シャドウのCOLORofCINEMAのレビュー・感想・評価

ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)
3.5
●彼岸と此岸を隔てるものは川だ。
そして繋ぐものも、思いをはせるために横たわるのも川だ。
ある種、夢を見ているような感覚。
時間の伸縮で言うならば、それは長い。
印象としての時間と実際の時間。
●原作よりもかなり肉付けされた登場人物。小説の映画化が(逆説的な意味ではなく)すごく文学的に見える。映像から立ち上る行間は詩的だ。

●さつき(小松菜奈)と等(宮沢氷魚)、柊(佐藤緋美)、ゆみこ(中原ナナ)、麗(臼田あさ美)の間に紡がれる時間も、川の流れのごとく、蜘蛛の巣のように地下に張り巡らされた地下の水のように、繋がっているようで変化し続け曖昧な感じだ。
●4人が初めて顔を合わせるシーンがとてもよい。
柊とゆみこを見て反応するさつき。
●それにしても、さつきを演じた小松菜奈のアップ絵の力強さたるや。(「渇き」以来、ずっとテレビよりも映画での出演作を見ている気がする。それほどにスクリーンが似合う)
●出演者以外にも撮影、カラリスト、他、気になることがいっぱい。
そして印象深い音楽のトン・タット・アン(『朝が来る』など)

●色のトーンについては何度もディスカッションを重ねたらしく、本作の文学性を創り上げる一端となっている。
さつきの赤のコートは(おそらくカラコレで強調されてると想像)強烈なイメージを残す。それはラストで喪失から踏み出して足を進める力強さにも繋がっていく"赤"だ。
●ロケ地を調べると劇中、最も印象深い"あの橋"は東京都羽村市「羽村堰下橋(はむらせきしたばし)」
(google Mapに入力するとストリートビューもあるので、まさにあの場所へ飛ぶことができます)
これは、ちょっと行ってみたい。
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