Brynhildr38

ナイブズ・アウト:グラス・オニオンのBrynhildr38のレビュー・感想・評価

3.6
ミステリらしからぬ佳作。
「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」の続編。大富豪マイルズ・ブロンは、プライベートの島に友人達を招待しミステリゲームを開催するが、実際に事件が起きてしまう。名探偵ブノワ・ブランがその真相を暴く?(あらすじより)

舞台は孤島、何者かに招待された招かれざる名探偵、ゲームに見せかけて大富豪が本当に殺されるところから物語が始まるのだろうなと予想しながら観ていると・・・
あれ? 殺されない???

前作で名推理を魅せてくれたライアン・ジョンソン監督。続編ともなると前作超えのプレッシャーがあるはずだが、全く違うテイストに戸惑いつつも、本作品でも唸らされた。

中盤辺りで認識が逆転するのはエクセレント。しかしながら、犯人に意外性は無くトリックも余興程度。ミステリーの期待度を上げ過ぎるとがっかりする。また、序盤の説明台詞が、面白くない上に長過ぎるのも、途中離脱者を増やす要因になるのではとちょっと心配になる。

そうは言っても、アガサ・クリスティ風の推理ドラマとして十分成立しているし、謎解き以上に魅せる二転三転するストーリー。後になって原作が無いことを知ってびっくりした。

キャストは豪華絢爛。多すぎるのでここで紹介するのはお二人だけ。
世界一の名探偵には見えないけど有能なブノワ・ブランを演じるダニエル・クレイグは、007とは異なるユルい演技にこちらも思わず微笑んでしまう。マイルズの元パートナーのアンディを演じるジャネール・モネイは、前作の嘘をつくと吐いちゃうアナ・デ・アルマス枠の後任で、酒を飲むと大活躍する破天荒キャラをクールでキュートに熱演。

さらにカメオ出演がとっても豪華。
ある方の同居人として登場するヒュー・グラント。クールなスーツ&グラサン姿でコロナ対策消毒薬を口の中に噴霧するイーサン・ホーク。バッハの小フーガについて蘊蓄を語るけどチェロは弾いてくれないヨーヨーマ。等身大のディスプレイの中からいきなり語りかけてくるセリーナ・ウィリアムズ、小ネタが満載。

ラストは、いやはやなんとも・・・
観終われば、非日常の爽快感で満たされる!?
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