CANACO

ナイブズ・アウト:グラス・オニオンのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

2022年公開のライアン・ジョンソン監督・脚本作品。ダニエル・クレイグ主演。

アガサ・クリスティの世界観を踏襲したクラシックな館が舞台だった前作から、ガラス張りの最新型豪邸にガラリと変わった本作。ミステリー好きがうれしくなる古典的なトリックは盛り込みつつも、「ナイブズ・アウト」のオリジナル色が強まった印象。クリーンエネルギーとかYouTuberとかコンブチャなどといったトレンドを盛り込んでいる。

「WIRED」にデザインシンカーの池田純一さんがネタバレ込みの上質なレビューを書いていて、そこでふれている通り、Eating the Rich(金持ちを風刺する)映画に属する。それは最近のトレンドらしく、『ザ・メニュー』と共通する。
繰り返し出てくるディスラプターというワードは、「破壊者」と翻訳されているが、既存の業界に新たなシステム等で殴り込みをかけるテック系ベンチャー企業のこと。それを広げて既存のものをぶち壊す存在として、“仲間”を「ディスラプター(ズ)」と表現しているようだ。

本作は、ベンチャー企業・アルファ社で大成功をおさめた大富豪マイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)が、自身の邸宅がある島に、彼の莫大な資金を当て込む“仲間たち”と関係者を招待するところから始まる。その島に“招かれざる客”としてやってきたのがダニエル・クレイグ演じる探偵ブノワ・ブランで、さらにマイルズとの確執により社を追い出された共同創業者・アンディまでやってくる。そこから始まる殺人事件とその謎を解くまでの物語。

本作の副題は監督が好きなビートルズの「ザ・ビートルズ」(ホワイト・アルバム)に収録されている一曲「グラス・オニオン」からとったもの。ビートルズの歌詞をあれこれ勝手に分析する一部のファンを揶揄した、言葉遊びあふれる曲。「THE RIVER」によると、ガラスのようにはじめから全て見えている状態を表す何かを求めて、自身の音楽ライブラリを検索していたときに見つけたらしい。
グラスオニオン自体は、架空の怪盗アルセーヌ・ルパンもつけていた片眼鏡(モノクル)のこと。片目で覗き込む仕草を、ああではないかこうではないかと深く考え過ぎる人たちに見立てて、プロットを組み立てたのかもしれない。結果、謎解きとしても娯楽としても楽しく、もう一度、二度繰り返し見たくなる仕掛け満載の作品に仕上がっている。

ブノワが、ポアロやコロンボ、古畑任三郎のようにちゃんと憎たらしいの好き。ゲイだったブノワの彼氏役がヒュー・グラントなの好き。エドワード・ノートンがめちゃくちゃしゃべった挙句、◯◯なのわかるの好き。満足。
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