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ナイブズ・アウト:グラス・オニオンのtwitwilightsのレビュー・感想・評価

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Looking through a glass onion ♬
ライアン・ジョンソン監督による「ナイブズアウト」シリーズ第2作目。”グラス・オニオン“という副題(主題?)が付いており、実際、ザ・ビートルズの同名曲がエンドテーマに使用されている。後期の佳作アルバム「ホワイト・アルバム」収録のジョン・レノン単独楽曲と呼んで良いだろう。リリックは、すぐに歌詞を深読みする当時のファンダムをからかった内容。本作で久しぶりに聴き直したのだが、現代のJpopファンダムにおける”歌詞を過剰に神聖視する問題” にも十分作用する内容のような気がした。ジョン流石。

「ブランが相手をとことん打ち負かすことができるような、誇張された比喩として使える何か面白いものを私は常に探しています。そもそも最初からすべてがよく見える状態であるということ。だから、ガラスのような何か透明なものという考えが浮かびました。正直に言うと、iPhoneを取り出し、文字通り“ガラス(glass)”という単語で自分の音楽ライブラリを検索しました。きっと何かガラスに関するいい曲があるに違いない、と。それで、ガラスの要塞、ガラスの城、ガラスの人間…と探しているうちに、最初にこれだと思ったのが、自分がビートルズの大ファンということもあって“グラス・オニオン(片眼鏡)”だったのです。」(ライアン・ジョンソン)

エドワード・ノートン演じるマイルズが、皆を招待した島でギターを爪弾くウェルカム・ソングは、同じくザ・ビートルズの”Blackbird”だ。こちらはポール・マッカトニーの楽曲であり、ビヨンセが最新アルバム『カウボーイ・カーター』(2024)でカバーしたのも話題となった。

また、自分は演者の衣装を鑑賞するのも大好きなのだが、ブロア(ダニエル・クレイグ)が、島へ渡る際に着ていた淡いピンク色のリネン・シャツ(実際のセリフで素材を問われ、“コットンかな?”と答えるシーンがあるが)の胸元あたりに小さなほつれを発見してしまう。衣装部の意図的な演出なのか真意は分からぬが、このシーンのお陰で、もう着ることもないかと諦めていた、小さなほつれのある自らのリネン・シャツを引っ張り出す勇気を頂いた。
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