藍紺

スティルウォーターの藍紺のレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
4.0
殺人罪により留学先のフランス・マルセイユにおいて投獄されている娘の無実を信じ、アメリカ・オクラホマから単身乗り込む父。あらすじからしてド派手なアクションが始まるのかと思いきや、言葉が通じなかったり単独捜査は遅々として進まず、「アメリカ人お父さんのホームステイ物語」が展開する。いやでも、これがいいんですよ。現地の母娘と仲良くなったりして。アメフト命の男がサッカー観戦に行ったりね。娘の奪還の映画かと思いきや実は一人の保守的で典型的米白人男性の気付きとか内省をじっくり見せられていた。これが非常に良かった。マット・デイモン、口数は少ないんだけど、表情から訴えるもの多すぎ、演技うますぎ(知ってた)。
このタイトルの「スティルウォーター」にも仕掛けがあっておおっ、そこに活きてくるのかと唸らされる。そうかそこに繋がるのねと。

終盤は苦くてやるせない感情が湧き上がる。渡仏する前のオクラホマしか知らなかったビルにはもう戻れない。でも決して悪いことばかりではなくて、マルセイユでの楽しい思い出もきっと心には残ってくれるのではないかと思うしそれはビルを温めてくれるものだと私には思えた。余韻のあるラストシーンは胸に残った。
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