リーアム兄さん

シンデレラのリーアム兄さんのネタバレレビュー・内容・結末

シンデレラ(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【好きなセリフ】
ファビュラス・ゴッドマザー「永遠に続くものなどない。良いことも、悪いことも。」

エラ(カミラ・カベロ)は継母のヴィヴィアン(イディナ・メンゼル)とその2人の娘のもとで使用人のような扱いを受けながらも、ドレスのデザイナーを夢見ながら暮らしていた。ある日、エラの暮らす国のロバート王子(ニコラス・ガリツィン)が花嫁を見つけるための舞踏会を開くというお触れが出る。エラも舞踏会に行こうと自分でデザインをしたドレスを準備するが、その美貌に嫉妬した継母に舞踏会に行くのを禁じられてしまう。悲しみにくれるエラだったが、そこにファビュラス・ゴッドマザー(ビリー・ポーター)という魔法使いが突然現れ、エラに魔法をかけ、舞踏会に連れて行ってくれる。しかし、魔法は12時までに解けてしまうというものであり、エラは無事王子と出会うことができるのだが、魔法が解けてしまうため、逃げ出してしまう。王子とエラは再び出会うことができるのか、エラはデザイナーになる夢を諦めるのか。

「ピッチ・パーフェクト」シリーズの脚本家ケイ・キャノンが手がけるまったく新しい「シンデレラ」。
かつてディズニーが製作した「シンデレラ」を現代に会う設定に再度描き直し、さらにそこにミュージカルという新要素を加えた、言ってしまえばもはや違う映画。
悪役に描かれていた継母と2人の娘もソフトな意地悪さは残りつつも、見ているこちらが「そう言うのも仕方ない」と思うような背景がプラスされ、完全な悪役とは言えない。
また、魔法使いもLGBTで黒人という新たな設定に書き換えられており、あの「ビビディ・バビディ・ブー」すらも登場しない…

従来のまさに「シンデレラ・ストーリー」という物語ではなく、その要素も残しつつも、シンデレラ=エラがデザイナーになりたいという「自分の夢」を選択するかどうかがテーマになっており、ロバート王子の妹であるクヴェンが王位継承を求め政策を語ったりと、「女性の活躍」というのがメインとなっている。

また、シンデレラの時代背景はそのまま残してはいるが、ミュージカルで選曲されているのがQueenの「Somebody to Love」やEd Sheeranの「Perfect」などまさに「ピッチ・パーフェクト」を彷彿とさせる選曲センス。
中世ヨーロッパの世界に響き渡る80年代ロックや最近のPopがとても斬新。

「シンデレラ」という物語がペローやグリム兄弟、バジーレなど歴史を経ていろんな設定が変更されながら楽しまれてきたという時代背景を考えると、2020年代の新解釈「シンデレラ」としては相応しい作品ではないかと思った。

この映画を観た後に色々調べて知ったこと。「シンデレラ」というのは「灰まみれの“エラ”」=Cinder Ellaというのが語源なんですね。

映画好きで、どんだけ映画を観ていても、日々気づきがあっていい。