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シンデレラのNMのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2021年製作の映画)
3.5
シンデレラをもとにしたオリジナルストーリー。大胆に作り変えられていて面白い。
(いわゆるディズニー的な)シンデレラの物語は、現代の女性の生き方には合わないと槍玉に上げられることが多い。本作はそんなシンデレラ嫌いの方にもおすすめできる。逆に言えば伝統的なシンデレラを観たい人は好みじゃないかも。

このシンデレラは叶えたい目標がある(ドレスデザイナー)。プロポーズされてもお姫様生活より夢を追うことを優先させるほど。
あの階段もないし、靴は脱げるのではなく自分で脱いで投げつける。お姫様抱っこを断って自分で走る。
終わってみるとシンデレラらしいのはじめの設定部分だけだったかもしれない。

ミュージカル映画であり、エド・シーランなどの現代ヒットソングが次々登場。しかも取ってつけたような選曲ではなく場面にフィットしている。もちろんキャストたちの歌唱力も貢献。

日本語訳しか見当たらないので今回は選択の余地なくそれを視聴。
歌唱部分は英語のままなのでその魅力はじゅうぶん伝わる。
一部日本語訳で歌われていて不思議に思ったが、それは説明的な内容のときにわかりやすく伝えるためだったのだろうと思われた。

あちこち現代的。
服、帽子、髪型や庶民の服装も古臭さがなく多様、女性たちのドレスなどはむしろコレクションなみ。
演技も演出も現代的、台詞まわしも若者言葉。
あと人種も多様なのが良い方向に働いていて、より華やかな雰囲気が出ている。
音楽もクラシックは殆ど出てこない。ポップス、ロック、ラテン。シャウトにスキャット。

本作のシンデレラはいじめられてきた割にけっこう鋼のハート。
あとメインで意地悪をしているのは継母のみで、娘たちは案外ソフト。
そして原作にはない継母の秘めたる思いも描かれていてこれも良かった。
この継母は二人目の主役。夢を追う人と諦めた人の対比。二人のやり取りは見どころの一つ。
継母役イディナ・メンゼルのニカッと笑うときの口元が美しい。ブロードウェイ歌手でもあり歌唱も見事。アナ雪のエルサ役でもある。

最高なのが魔法使い。
男性が演じていてそのドレスも見事。ビリー・ポーターはいつも華やかな衣装でレッドカーペットで見せたタキシードドレスがあまりにも有名。
出演時間はそう長くないが間違いなく最も印象に残る人物の一人。
ここではっきり、日本語版もいいなと思えた。
変身したネズミたちもかっこよすぎて面白い。

女王も、ただ王に仕えるだけの自我を殺した生活にうんざりしている。
王子様には姉がいるが、これも結婚などより国政という仕事に強い興味を持っている。
女性たちに認められようと頑張るのは男性陣のほう。
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