磨

シノノメ色の週末の磨のレビュー・感想・評価

シノノメ色の週末(2021年製作の映画)
3.7
母校“篠の目女子高校”廃校取り壊しを知った卒業から10年が経った元放送クラブのアラサー3人組。母校に忍び込み、当時隠したタイムカプセルを探しながら、制服着てキャッキャして昔を懐かしんだり現在の悩みを打ち明けたりする。
要は、大人に成り切れない20代の女性の心理を描く青春ドラマという感じ。

元乃木坂46の桜井玲香初主演作品。岡崎紗絵と三戸なつめを併せたこの3人が作品を描き出す。
監督・脚本は長編デビュー作「月極オトコトモドチ」が東京国際映画祭の日本映画スプラッシュ部門に出品された穐山茉由。将来性のある監督に贈られる新藤兼人賞にもノミネートされる期待の新鋭監督だけど、ファッション業界で働きながら映画監督に挑戦したという異色の経歴と行動力の持ち主。
彼女の自身の経験を生かした脚本が、作品の質に直結していると感じる。

3人だけでうだうだするのかと思ったら、他の登場人物もいて、最初は意味がわからなかったが、終わってみればとても意味のある存在だったと感じた。

悩みや解決などはオーソドックスな展開や手法。人物の掘り下げもやや少なめに感じ、少々の甘さも見受けられるものの、3人の醸し出す空気感がとにかく良かった。

“月曜が憂鬱なあなたに贈るー”と謳われている通り、観賞後の心地よさは最近の邦画では一番。
ラスト、タイトル通りの東雲の空。明るい未来を示すような陽射しが清々しい。
磨