ぶみ

シノノメ色の週末のぶみのレビュー・感想・評価

シノノメ色の週末(2021年製作の映画)
3.5
穐山茉由監督、脚本、桜井玲香、岡崎紗絵、三戸なつめ等の共演によるドラマ。
卒業して十年、廃校となり取り壊しが決まっている母校、篠の目女子高校に、週末だけ集まる三人の元放送クラブ部員等の姿を描く。
モデルをしている美玲を桜井、広告代理店に務める元放送クラブ部長通称まりりんを岡崎、カメラが趣味で事務職をしている通称アンディを三戸が演じているほか、途中から三人の仲間入りをする篠の目女子高校最後の学生を中井友望、まりりんの先輩となる広告プランナーとして工藤阿須加が登場、若手中心のキャスティングで、観る前は正直演技に不安な部分があったものの、中々どうして、皆ハマり役。
物語は、10年前に残したタイムカプセルを探そうと、週末校舎に忍び込んではしゃぐ三人を中心に展開。
十年前に思い描いていた自分と現実とのギャップに悩みつつも、週末だけ現実を忘れ、閉ざされた校舎の中で、あの頃に戻る三人の姿は、微笑ましくもあり、痛くもあるもので、二十代後半という絶妙な年代設定が効いている。
また、立入禁止の校舎の中ではしゃぎながらも、誰かに見つかるのではないかという微妙な緊張感は、中々スリリング。
廃校を舞台にしながらも殺伐感は一切なく、終始やわらかく透明な空気に包まれており、等身大の演技が地味ながらリアルを感じさせてくれるとともに、終盤に登場する東雲色に輝く空を見つめる主人公等の背中に、明日への力強さを感じた佳作。

今を全力で生きろ。
ぶみ

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