よんぴる

長崎の郵便配達のよんぴるのレビュー・感想・評価

長崎の郵便配達(2021年製作の映画)
3.0
この夏は観たい大作映画が少なく、とは言えせっかくの夏休みに何か観たいと思い、だったらミニシアターがあると思い、初めてアップリンク吉祥寺に行ってみました。

今年のGWに初めて長崎に行き、平和記念公園や原爆資料館に訪れたこともあり、またロシアのウクライナ侵攻でこれまで以上に核の脅威が身近に感じることもあり、迷わずこの作品をチョイス。

元イギリス空軍でジャーナリストのピーター・タウンゼントが、長崎の原爆投下で文字通り九死に一生を得た谷口スミテルを取材し本にまとめる。その娘であるイザベルが父の書いた本と残したテープを頼りに、長崎を訪れて足跡を辿る…

これはドキュンタリーなのだろうか…?

ピーター・タウンゼントとスミテルの友情が描かれているが、疑問に感じました。
フランスのTV番組にゲスト出演したスミテルに、番組中に服を脱いで火傷の跡を見せるよう指示するというくだりがあるが、本当の友人ならそのようなことをさせるのだろうかと違和感を覚えました。

また、娘のイザベルが長崎を訪れた後に、フランスの学校で、スミテルの話をモチーフにした演劇を演出するシーンがあるが、こちらにも同様の違和感を覚えました。

父はイギリス空軍パイロットとして活躍したが、多くの人を殺めたことへの償いとして、スミテルの話を通じて戦争反対を訴えたかったのだと思うが、結局は職業作家である。

また、娘は父の残した話を伝えていくことで戦争反対を訴えたかったのだと思うが、同様に職業俳優である。

その辺りが垣間見えてしまうために、純粋に感動しきれなかったのが本音です。

まだスミテルが生きていて、イザベルと直接会うことが出来れば、話の展開が異なったのかと思うと、残念でたまりません。
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