みーやん

あそびのレンズのみーやんのレビュー・感想・評価

あそびのレンズ(2021年製作の映画)
3.4
原則的に作品情報でわかるようなデータやストーリーはレビューには書かないことにしているのですが、フィルマでの作品トップの情報がすごく薄いのでいちおうあらすじを書いておきます。

【公式あらすじ】
吉田みずき(緑茶 麻悠)は、夫の日向(荒木 貴裕)と3歳の娘ふうこ(真鍋 碧)の3人家族。夫の転勤で、昔住んでいた東京に引っ越してきたばかりだ。大手企業に勤める夫の帰宅は夜遅く、子どもが産まれてからは、必然的に日中の家事・育児はみずきが担っている。知り合いの少ない東京に来てからもふうこと二人、近くの公園に通う毎日を送っていたが、なかなか町に馴染むことができない。
そんな日々を過ごしていたある日、一本の電話がかかってくる。昔の同僚で今は大手の出版社に勤務する室伏薫(儒河)から、新刊雑誌のデザインの仕事の依頼だった。兼ねてから仕事に復帰したいと考えていたみずきは、二つ返事で依頼を受けるが、指定された打ち合わせはなんと翌日。急いでふうこの預け先を探したが見つからず、結局一緒に打ち合わせに行くことに…
<引用おわり>

というところから、プレーパークという「管理する大人が常駐していて、そのぶん子供たちは自主的に好きなことをして遊べる」遊び場に主人公ファミリーがつながっていって・・・となっていくお話です。

ではここからレビュー本文。
前日に観たドクターストレンジで繰り返される「Are you happy?」という問いかけが脳裏に蘇ってくる作品でした。なんか何みても「なんかそういうマルチバースなんだな」って思えてしまいますね(笑)。

さておき、本作は監督・脚本をつとめた佐伯龍蔵さんとちょっとご縁があってということもあり劇場へ足を運びました。作品としての良さと、ドキュメンタリックな部分から情報として知れたこと(それを広めることもこの映画の大きな目的の一つだと思うので、そこは僕に対してはじゅうぶん成功だったといえるでしょう)、あとそういう以前からのお付き合いもあってトータルこんなところでしょうか。

とはいえ主人公ファミリーのような「子育て世代」よりずっとトシくってるながら子無しの自分としては子育てっていう部分ではそこまで共感できるものではないのですが、そんな自分にとっては上に書いたMoMとも関連してくるような「みんな自分の居場所で幸せになるべきだし、まわりを幸せにするべき」という部分は響きました(いっぽうMoMについてはイヤそれならなんぼなんでもワンダの扱いひどすぎへんか?と言いたいところですが)し、子供が楽しく遊ぶのは大人が自分たちで思いっきり楽しそうに遊んでいるのを見てこそっていうのも大事だなと思いました。大人と子供、でもそうですしもっと世代を上にスライドさせた関係でも一緒でしょうしね。そういう、音楽だ演劇だを通じで本気で遊ぶことに免罪符を得た(笑)のも大きな収穫でした。

とくに子供がらみのシーンはプレーパークで遊ぶことを含めて好きにやらせているようで、ひたすらカメラまわしてからの撮影でたいへんだっただろうなーと思いました。カモンカモンもわりとドキュメンタリックな撮り方してるパートがあるらしいので、比べてみても面白いかもしれませんね。

公式サイト(https://asobinolens.com/)に製作のいきさつが書かれているように、純然たる劇映画としてというよりある種「企画もの」「ご当地もの」としてスタートした企画のようですが、そのわりにはちゃんとお話になっているしいわゆる「地方映画」「ご当地映画」にありがちな臭みがないのはすごくよかったと思います。このへんもっと掘り下げられるナニカが埋まっている気がしますね。

かつて子供だったことがある人ならみんなそれぞれに受け取るものがあると思います。近くで観られる機会があるようならぜひどうぞ!
みーやん

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