ゆかちん

ディア・エヴァン・ハンセンのゆかちんのレビュー・感想・評価

2.8
予告編を映画館で観まくってたのを思い出して鑑賞。

現代の人たちが抱える孤独。
単純ではない家族の問題。
現代のSNS環境ならではの功罪。
根本的精神の成長と前に進む話。
…などなど、確かに感動というのか、社会問題を踏まえた、辛い現実を踏まえて前へ進むミュージカル。

ミュージカルシーンも、ミュージカルの舞台をそのまま再現とか、歌って踊って高揚感っていうより、それぞれの心の内を吐露したり、ただ話すよりエモーショナルになるように…といった風に使われていて、「ミュージカル映画」というより、「映画の中にミュージカルが含まれている」というような表し方でした。
そういうのは新鮮かも〜!
映画化することの意味を感じたりもした。

でも、ずーっと違和感と罪悪感を覚えながら見るので、なんともスッキリ感動とはいかなかった。




社交不安障害を抱えた高校生のエヴァン・ハンセン(ベン・プラット)は、セラピーの課題で自分自身に宛てた手紙を書いていた。
しかしある日、クラスメートの薬物依存の経験もあって校内で浮いていたコナー・マーフィー(コルトン・ライアン)に手紙を持ち去られてしまう。
後日、校長に呼び出されたエヴァンはコナーの両親からコナーが自殺したと告げられる。
コナーの両親はエヴァンの手紙を見つけ2人が親友だったと誤解してしまい、エヴァンは思わず嘘の親友との思い出を語ってしまうーーー。



確かに、エヴァンの育ち・精神状況・心の不安定という状況の中出逢ったコナー家族の想い・エヴァンのコナー家族への憧れと自分の居場所の渇望など…色々なことが重なった。
…としても、その嘘は亡くなった人への冒涜にならないか?という居心地の悪さ。
あと、エヴァンも嘘ついたのはあるけど、期待したり思い込んだりして嘘つかないとおかしくなりそうな、後戻りしにくいような状況にした周りにも責任があるのでは、と。
だから、全員に違和感と罪悪感を覚えて、見ててずっと居心地悪かった。


でも、学生さんもみんな、病んでるんやなぁ。。

イベントとか立ち上げたり仕切ったりして、友達もたくさんいるアラナ(アマンドラ・ステンバーグ)も精神の薬飲んでないとってなってるとか。
でも、彼女の最後の行為は許されないのでは、と。
彼女ももっと責められるべきやと思うのに、なんか被害者ヅラしてるのおかしくないか?て思ってもうた。
遺書とされたものを彼女にメールで送ったエヴァンは悪いけど、エヴァンは彼女に、家族しか知らないものだから絶対誰にも見せないでと言った。
ほんまは遺書ではなかったけど、本来遺書って家族のもので、勝手に自分以外に広める、ましてや、ネットに投下するのってどうなん?
倫理観やばくね?
それでコナー家族が非難されて。
罪悪感なしですか???
エヴァンだけが責められるものですか??
もしほんまの遺書なら、あなたの行為は人としてどうなんですか??
他の1人に見せるのと、ネットに投下とは、影響力が違いますけど???
…て思ってもうた。


でも、エヴァンのスピーチのシーンの歌はとても良かった。

「闇が押し寄せても
誰かの支えがなくても
落ちて壊れても
独りじゃない

見つけてくれる人がいる
君は独りじゃない」

エヴァンの望みが込められた歌で、それが同じように孤独だった子供たちを勇気づける。



あと、自分の嘘について全て話したあと、エヴァンの悔恨と贖罪、その後の彼の償いの行為や、コナーという人間を本当に知るようになり、その家族を癒すのを手助けしようとする姿が描かれたのが良かった。
学校の人たちから無視されても、それは自分の行為の結果として受け入れて過ごして、コナーやコナー家族への罪滅ぼしや、彼の本当の姿を知ることについて努めるところ。
そこにエヴァンの成長を感じた。
その成長には、母の愛をしっかり理解したのもあってんやろな。そこの描き方はとても良かった。

あと、コナー両親の心の良さも。


コナー母役のエイミー・アダムス、
エヴァン母役のジュリアン・ムーアが
とても良かった。
演技の見せどころが存分に発揮されてて。
さすがやなぁってなった。


ゾーイ役にケイトリン・デヴァー。
ちょくちょく良い作品の良い役どころで見かけるね〜!

エヴァン役の ベン・プラット。
歌うまーい!
あと、心が不安定で学校に馴染めない男子役がうまかった。
年齢がアラサーだから高校生って、て声もあったらしいけど、他の高校生もみんな二十歳超えてるしなー。
スパイダーマンのトビーマグワイヤとかもそうやったし、まあええんちゃう?て感じでした笑。

2020年代という時代を表す作品にもなるのかな〜ってなりました!
ゆかちん

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