さぶろー丸

ディア・エヴァン・ハンセンのさぶろー丸のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

突然歌い出すミュージカルは少し苦手だけど、メールの内容をあーでもないこーでもないと言い合いながら打ってる文章をミュージカルで歌うシーンはすごく良かった。

主人公のエヴァンは自殺した子の家族(と承認欲求)のために「彼とは親友だった」「彼はいつも家族のことを気にかけてた」と嘘友情エピソードを話すけど、いつも兄のとばっちりを受けていた自殺した子の妹からしたら「『兄はいい奴じゃない』『モンスターみたいだ』と思ってたのに、実はいい奴だったって言われても困るよ…」ってなるの、辛いよな…と思って見てた。

それでもどんなにめちゃくちゃな兄(息子)でも亡くなってから家族で想いを馳せて理解しようとしてる様は、綺麗事みたいだけど自殺って残った側のダメージが大きいから良くないよなと思えた。

ひたすらエヴァンが悪いんだけど、その嘘話をきっかけに「そんな良い一面があったんだね」「彼はこういう気持ちだったのかな」ってみんなで良い風に理解して自殺した子の死を乗り越えようとするけど所詮想像でしかなくて(ていうか嘘で)、愛を持って寄り添ってた自殺した子のお母さんですら「これあの子のギターよ。作曲とかしてたみたい。私達には聴かせてくれなかったから本当の所はわからないけど」みたいな感じだったのに、嘘がバレたエヴァンが自殺した子の本当の姿を探し求めた結果、家族も知らなかった『セラピーの集まりにてギターで自作の歌を披露する彼』の姿を見つけられて家族もエヴァンも、そして自殺した子自身も救われたのはすごく良かった。
さぶろー丸

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