理大囲城のルサチマのレビュー・感想・評価

スタッフの名が一切明示されないこともあるが、このような悲惨な状況下におかれた香港で撮影者たちが己の主義主張を示すためではなくあくまで目の前で繰り広げられる戦闘をそのまま映すことに身を捧げている覚悟に痺れる。今作において興味深いのは武装のためヘルメットを被り顔を隠した若者たちが大学にやってきたスーツ姿の校長と絶えず対立をしてしまうことにある。顔面の提示がこの状況下において意味をなさない中、人々はヘルメットを被り、武器を手にすることの連帯を実践していくことでしか共同する方法はないのだろうか。この映画が広く世界に見られていくことを祈る。