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理大囲城のtdswordsworksのレビュー・感想・評価

理大囲城(2020年製作の映画)
4.6
言葉を失う。
大学のキャンパスに籠城して、序盤はデモの意義や狙いを意気揚々と叫び、掛け声に応じて威勢よくテキパキと動いていた若者たちが、圧倒的な警察の機動力を前にして徐々に追い詰められ、精神的な疲労が極限に達して、集団内の主張がまとまらなくなり、離脱者が増えていく。
階段の途中で、二人の少年が、投降するか留まるかを相談している。この場面、ものすごく長く感じた。

キャンパスからの脱出は逮捕されるリスクが大きく、ゾンビ映画に見られる葛藤そのものである。政治的事件の記録映像でもあり、バトルロワイヤルでもあり、ワンシチュエーションドラマでもある。制作過程における制約が多く、というかこうして映画館で上映されるのさえ奇跡的とも言えるが、映画的な見ごたえに溢れている。こういうドキュメンタリーにスコアを付けるなんてどうかしてると思うけれど、より多くの人に観てほしいとも思うから、僕も誠意を込めてスコアを付ける。
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