まごころ

オーストリアからオーストラリアへ ふたりの自転車大冒険のまごころのレビュー・感想・評価

4.0
私は大学2,3年生の時に自転車で鹿児島(屋久島)から北海道(函館)までの日本縦断と北海道一周の合計6000キロ超の旅に出たことがあります。日本国内ということで映画ほど治安やライフラインなどで危険な場面は少なかったかも知れませんが、それでも多くの共感できる部分がありました。

中でも特に感じたのは、1つは”人との出会い”、もう一つは”人間は自然に生かされている”、この2点です。

道中の人との出会いは数知れません。そして、旅人は何故か皆に優しくしてもらえます。弱者を助けようとする人間の本能からでしょうか。自分自身、トラックのおじさんに缶コーヒーをもらったり、お店で出会ったおばさんにご飯を奢って貰ったり、野宿していたキャンプ場でごはんを誘って貰ったり、すれ違い様の人たちに応援の言葉をもらったり、上げればキリがありません。また、道中で出会う旅人とは一瞬で友達になれます。旅人は老若男女問わずいろんな人がいるのに、旅という共通言語であっという間に打ち解けること出来ます。一期一会とはまさにこのこと。

もう一つ、人間は自然に生かされているということ。まず、旅というと観光で楽しそうなイメージがありますが、それはごく一部で実際には大部分が移動時間に費やされます。自転車で山を越え、谷を越え、向かい風に煽られ、日焼けと膝の痛みを我慢し、雨の中を走り抜ける。そして、苦労してたどり着いた絶景に感動し、美味しいご飯で体力を回復する。これの繰り返しです。自然に生身一つで投げ出され、全身で自然を感じながら一漕ぎ一漕ぎ前に進んでいき、そして自然の恵みに感謝する、これが自転車旅の醍醐味なのです。

長くなってしまいましたが、この映画を見て、今までの旅のことをまた考え直すいい機会となりました。またいつか、自転車旅に出たいですね。
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