たこす丼

ジャズ・ロフトのたこす丼のレビュー・感想・評価

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)
3.0
2021/10/31 ル・シネマ
貴重な資料と証言の数々。中でもモンクテンテットのリハーサルの話は、当時のニューヨークにおける重要ジャズメン達の真摯なミュージシャンシップを感じて良かった。(フィル・ウッズが生きていた頃のインタビューだから結構前に撮ったんだなと思ったら2015年製作の映画だった。)
こういう類の伝記映画はモノによっては過度なストーリー付けがあって残念な気持ちになることもあるが、インタビューと録音をベースに展開するので嘘っぽくなくて観ていられる。ただあまりにも淡々としすぎて、テクニカルな説明パートなんかは興味がないと意識を失ってしまうかもしれない。(写真技術の話が続いた後に、「壁には写真が〜」みたいなことを何度目かと思いながら聞いた直後にいくらか意識を失っていたから、音楽に興味のない人が気を失うパートもあるはずである。)
しかし、一人の写真家を通して一時代のジャズの肖像が描けるというのは、相当な狂気のなせる技であったことには違いない。素晴らしい芸術が必ずしもドラッグや不眠不休によって作られるわけではないと信じるが、この映画は狂気が芸術として日の目を見ることの証跡になっており、そのことを確認できただけでも(少なくとも自分にとっては)価値あるものだと思った。
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