おざわさん

ジャズ・ロフトのおざわさんのレビュー・感想・評価

ジャズ・ロフト(2015年製作の映画)
4.0
1950年代のニューヨーク6番街、周囲には花の問屋街が並ぶ一角にあるロフトには、夜な夜な様々なアーティストたちが寄って来て、朝までジャズセッションを繰り広げていた。

そんなロフトを解放していたのは、フォトジャーナリストのユージン・スミス。
彼は第二次世界大戦中には、戦場での現実を捉えた写真を最前線で撮っていた時に砲撃を受けて、大怪我を負って帰国。長い闘病から現場復帰したものの、家庭と仕事を両立出来ずニューヨークに住み始めたのが6番街の雑居ビル。

本当は住んではいけない地域だったものの、写真作品の制作拠点として住み込み、同じように行き場のないジャズメンたちが一晩中演奏できる場としてどんどん集まり、それぞれ思い思いにセッションし始めます。
その様子を楽しそうに撮影しつつ、ビル中に張り巡らせたマイクで録音していたユージンの残した音源や写真から、このアツいドキュメンタリー映画が出来上がりました。

出入りしていたのはセロニアス・モンクやホール・オーヴァートンなど著名な奏者だけじゃなく、まだ無名なジャズメンたちもいれば、その前衛的な空気感に惹かれたサルバトール・ダリなど著名人もいて、奇跡のようなセッションが毎夜生み出されていく。