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パンケーキを毒見するのBuffysMovieのレビュー・感想・評価

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)
2.5
菅さん自身、パンケーキがここまでディスり倒されるとは想像もしていなかっただろう…ついには映画のタイトルにもなってしまっていて、可哀そうにも思えてしまう。

『i-新聞記者ドキュメント』にも共通して感じられる点は、いかに世間には、メディアによって「ろ過」された情報が溢れ、それが真実として、まかり通っていることへの問題提示であるということ。

しかし、映画も一種のメディアであり、ドキュメンタリーというジャンルそのものが、やや偏った視点によって構成されているだけに、今作が真実だと真正面に受け入れることも危険である。

例えばアメリカ大統領選においては、共和党と民主党それぞれの支持者によって、もしくはテレビ局自体が、それぞれの偏ったドキュメンタリーを制作し、足の引っ張り合いをする。ゴールデイタイムのお笑い番組も政治ネタを多く取り入れていれているほどだ。

ところが日本の場合は、SNSの普及で変わりつつあるといっても、メディアが偏り過ぎていて、国民自身がどちらを正しいかを考える文化というのが、あまり定着していない。

だからこそ、ポップな風刺アニメーションによって、政治ドキュメンタリーとしてのハードルを低くすることで、幅広い層に観やすい構成がされていることは、とても大事なことではある。

今作を信じ切ってしまうことは危険ではあるが、国民、とくに政治に感心のないといわれる若い世代が、日本という国のアンバランスさに気づいて、少しでも興味をもってもらう、ひとつの考える材料を提供するという点においては機能している。

何より過去の出来事ではなく、現役首相を取り上げた「今」に直結するものだけに、その効力は絶大と言えるだろう。

『i-新聞記者ドキュメント』と比べてしまうと、どうしてもスタイリッシュという点では劣ってしまっている。これは扱っている事件や政治問題の内容がどうこうという点ではなく、『i-新聞記者ドキュメント』の場合は望月衣塑子という記者の取材スタイルや、ひとりの母としての姿に焦点が当たっていたため、エンターテイメント色という点では勝っていたものの、それがドキュメンタリーというジャンルにおいて正解なのかと言われれば疑問ではあるが
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