mimitakoyaki

パンケーキを毒見するのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

パンケーキを毒見する(2021年製作の映画)
3.6
公開から1年遅れで鑑賞しました。
公開時は菅政権だったわけで、「パンケーキおじさん」なんて言われたりもしてましたが、あれから1年、まさか安倍元首相が銃撃されて亡くなったり、その事件をきっかけに安倍氏や主に自民党の国会議員達とカルトのズブズブの関係が露わになるなんて、思ってもみなかったです。

映画は、学術会議の任命拒否問題とか、ちょっと懐かしさを感じる話題から始まり、その国会答弁の酷さなんかは、日頃ニュースでコンパクトに編集されて見ている映像からは伝わらないエグみがありましたね。
これは安倍首相の時もそうだったんですが、官僚のカンペ頼みで自分の言葉でまともに説明できない、語れない、言ってる言葉の空虚さとか、答えになってない無意味な繰り返しばかりで、国会をノーカットで見てると、なんかいろいろめちゃくちゃ過ぎて、無能すぎてヤバない?って思うんですが、それも人々が政治に対して期待せず諦めさせる戦略なんですかね。

博打うちとか、菅氏について書かれた本を読む外国人女性とかのイメージカットは、かなりスベってて、これはいらんやろと思ったりもしましたが、めちゃくちゃ興味深かったのは、しんぶん赤旗の編集部への取材のパートで、「桜を見る会」の問題について編集部で会議してるところとか、菅政権での官房機密費ジャブジャブ使ってる問題などを丹念に調査してるのがすごくて、日本で政治スクープを出せるのが文春と赤旗しかなくて、大手メディアは権力に骨抜きにされて、報道の自由度ランキングでもどんどん下がっていってるという情けなさをあらためて感じました。

あとは、村上誠一郎とか石破茂といった、自民党のベテラン議員でありながら、安倍政権や菅政権の堕落ぶりを嘆く、そういう人へのインタビューも面白かったです。
村上誠一郎が涙を浮かべて話すのを見ると、ほんとに今の自民党を憂いてるのが伝わってくるし、むかし小泉純一郎が、小選挙区制を導入したら、みんなが官邸や党本部の意向ばかり気にするようになって党がダメになる、みたいな事を言ってたと石破氏がインタビューで言ってて、ほんとに今はその通りになってるし、色んな意味で小選挙区制の有害さが相当なものだと思いました。

作品の作り自体は、同じドキュメンタリーの「主戦場」なんかと比べると、チープな感じがしたり、センスの問題もあるんだろうとは思いましたが、こういう政治そのものを取り上げた作品は、日本ではとても貴重で、作られて良かったと思います。

それにしても、先日の参議院選挙でも与党が安泰ですもんね。
物価高、コロナ、貧困、格差、ジェンダー、環境…といろんな問題がたくさんあって、日本が他国と比べても無策で遅れをとってるのに、結局は選挙で自民党は勝つから何も変わらなくて、先行きもまた暗いなと思ったのでした。

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