アパートの前での世間話が続く群像劇から、その中の一家族に起きた事件でサスペンス調なる急転換がおもしろい。この展開の前後に街の俯瞰を見せて、タイトル通りの「Street Scene/街の風景」になっている。劇の映画化と知って納得のつくり。
様々な国からやってきたアパートの住人たちのやりとりや異なるアクセントの英語が、現代ほど複雑にまじりあっておらず、まさに当時のニューヨークが人種のるつぼだったのだと分かる。主人公の女性も、可愛い良い子でなくて、生来の男たらしという欠点のある子に見えるのが、また一興。