平和を祈るヒツジくん

ドラえもん のび太と雲の王国の平和を祈るヒツジくんのレビュー・感想・評価

4.9
「雲の王国」はドラえもん映画屈指の名作だから見とけ!とかキー坊が出るから!とか聞いたので視聴しました。自分は子供の頃に緑の巨人伝で2回泣きました。子供心に訴えてくる映画には弱い

のび太が「天国は実在するんだ!」と言い張るが、ドラえもんから「天国なんて存在しないよ。四六時中世界中を人工衛星が見張ってるが天国なんてのは発見されてないだろ?」と否定されショックを受ける。しかしドラえもんが「実際に雲の王国を作ろう!」と言うところから物語は始まる。

本作は旧約聖書の「ノアの方舟」がモチーフになっている。ノアの家族と動物だけを残して地上の全てを一掃してしまうという話。実際に世界中では洪水伝説があり、大洪水の痕も見つかっているのでこの出来事は確かにあったのだと思われる。
本作ではノアの方舟の話が雲の上の住民・天上人と僕ら地上人では異なっており、「他の王が領地を奪い合い、戦いをやめないのを嘆いた“白の王”が神に祈り雲の上から地上を一掃した」と伝わっている。
今の僕らの世界では争いがあり、環境汚染があり、飢餓があり、醜い部分を上げればキリがない。滅ぼされるのに確たる理由があまりにも多いのが悔しい現状だ。

物語後半では怒涛の展開だ。ドラえもんが持ち出した「雲戻しガス」を使い天上人と交渉に持ち込む場面がある。これが完全に核兵器を持ってバランスを保っている今の世の中を表している。ただドラえもんはガスを悪いことに使う気は無かった。しかしのび太達が助けた密猟者たちがこれを悪用しだす。核兵器も危険性を理解している人間が持っていないと核戦争になる。しかしドラえもんの捨て身がカッコよかった。
そして最後に成長したキー坊こと外務大使が出てきて、地上人について訴える場面で泣いてしまった。キー坊、ありがとう。
地球温暖化が深刻化し、ウクライナだけでなく世界中で戦争が起きている僕らは何が出来るだろうか・・・?クリスチャンは神さまに祈り求める道があります。常に平和を祈り、環境問題に真摯に向き合っていこうと思います。

のぶ代ドラえもんの良さが味わえ、大切なテーマを子供向け作品に落とし込んだ名作です。セル画ってのも良いですね。セル画大好き。