よーだ育休中

ドラえもん のび太と雲の王国のよーだ育休中のレビュー・感想・評価

3.0
理科の授業で雲の成り立ちについて学んだ際に、「天国」について先生に質問したことをクラスメイトに笑われたのび太。神話や伝承を躍起になって調べているのび太に対して、ドラえもんは自分で天国を作ってみてはどうかと提案する。

______________
|「20:00  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l\
|| ll 
|| 『 90's_animania 』 ll
|| 提供 あちゃん よーだ ll
|L_____________」|
 ̄ ̄∕ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄﹨ ̄
  ∧__∧
 (  ) ̄旦 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∕


◆大長編ドラえもん第十三弾

藤子・F・不二雄(当初の名義は藤子不二雄)により1969年から連載された日本を代表する漫画『ドラえもん』の大長編作品。

大長編十三作目のテーマは『環境破壊』。

前々作である【アニマル惑星】でも取り上げられていた《環境破壊》が今作でも盛り込まれていました。やれ天国だーとか、やれ雲の上で遊ぶだーとか、作品のキックはとてもファンシーなものでしたが、人類の環境破壊についての警鐘がガンガン鳴り響く作品でした。

それだけでなく《天上人》が自然の代理人であるかのように人類の悪行をこれでもかと突きつけてくる仕様。雷を使って攻撃してきたり、洪水を駆使して地上を一掃しようとするなどあたかも《神》であるかのような描かれ方もしています。

人類のせいで絶滅に追い込まれた動物たちが登場して、議場で人類を糾弾する描写もあります。象牙ハンターたちが悪者として登場しているので子供たちへの怒りの矛先は幾分かマイルドになっているように感じますが、【アニマル惑星】よりもかなり鋭い切り口。


◆切札として使うだけだよ

本作は《環境破壊》だけでなく、過去作品以上にハイレベルな題材が盛り込まれていました。冒頭から小学校高学年の理科で取り扱われる《雲の成り立ち》についてサラッと紹介されていましたが、こんなのは序の口。

雲の王国を建造するための資力が足りないドラえもんとのび太はなんと株式を発行。友達から出資を募ります。小学生での金銭のやり取りってなんかエグイなって思ってしまうのは金融教育が今なお遅れを取っている日本人であるが故の考えでしょうか。

環境問題をテーマに天上人と地上人との外交トラブルも勃発。地上を大洪水で滅ぼそうとする天上人の恐るべき《ノア計画》に対してドラえもんが打ち出した苦肉の策は《雲もどしガス》を使うこと。天上人たちの雲上の街はたちまち水蒸気と化し、遥か下界まで叩き落とされることとなります。互いが互いの世界を滅ぼすことができる武力で牽制し合う様は東西冷戦におけるキューバ危機のようでした。

アニメ放送で登場していたキャラクターが登場する演出は大長編初の試み。その起用方法は《地上人の環境破壊に苦しむ天上人の亡命を受け入れる》というもの。ドラえもんが故障してしまったり、特攻を仕掛けたり、ショッキングな作品に仕上がっていました。


𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄𓐄 𓈄
Dear.あちゃん

ここ最近のドラえもんは《皮肉》っぽいというよりも普通に《過激》になってきてる気がするんだけど気のせいかな( ¯•ω•¯ )??