ヒロオさん

裁かるゝジャンヌのヒロオさんのレビュー・感想・評価

裁かるゝジャンヌ(1928年製作の映画)
3.5
ジャンヌ=ダルクが異端審問を受け、火刑に処されるまでを描いたサイレント映画。

信心深い純朴な少女が、権力と欺瞞に塗れた異端審問官たちから精神的リンチを受け、次第に衰弱していく様子が描かれている。

審問官からの嘲笑に最初は唖然とし、怒りを露わにするジャンヌが、次第に希望を失っていく姿が何とも痛々しい。

表情をアップで映し出す独特なカメラワークが、ジャンヌの心情変化を精緻に捉えている。
ジャンヌが常に目をかっぴらいている様子は、あまりに異常で脳裏に焼き付いている。

話は全く面白くはなかったが、この時代とは思えない映画表現で鮮烈な印象を残す作品だった。

以下、ジャンヌ=ダルクについて疑問に思い、調べたことのまとめ↓

【ジャンヌの功績は?】
14〜15世紀の百年戦争において民衆を導き、フランスの窮地を救う転機となったオルレアンの解放を実現したこと。

【百年戦争とは?】
基本的にはフランス国内の王位継承権や領地を巡る内戦だが、複雑な事情により、イギリスvsフランスの戦争へと発展した。

具体的には…
フランス国内の領主がブルゴーニュ派とアルマニャック派の2派に分かれ、100年以上にわたり衝突。
フランス国内の事情にイギリスの利権も絡んでいたことから、イギリスがブルゴーニュ派を後援した。
アルマニャック派には、フランス国王シャルル7世がついた。
ちなみにジャンヌ=ダルクは、アルマニャック派(フランス国王側)の勢力である。

【百年戦争の意義は?】
百年戦争は、封建社会から近代的な主権国家への移行の契機となった。
長引く戦争により、地方の封建領主の力が弱まり、王権が強化され、絶対王政の出現に繋がった。

【ジャンヌ=ダルクは英雄なのになぜ処刑されたのか?】
女性でありながら男性の格好をして戦場に行ったことが、聖書の教えに背いたと解釈されたため。
また、教会の聖職者を経由せず、神と直接対話して啓示を受けたと言うこと自体、カトリックの権威を揺るがしかねないため。
その他、権力者の事情諸々が理由。

ジャンヌはイギリスが後援したブルゴーニュ派の捕虜となり、イギリスで異端審問を受け、処刑された。
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