ずいぶん前に『吸血鬼』(1932)は観た。
ざっくりとした歴史知識と美術知識で挑んだ。
冒頭、喧々諤々とした異端審問の評議会場が西洋絵画みたい。ほぼ登場人物のアップで物語は進むけど、引くと構図がキマってて心地良い。
いつもホラーばっか流れてるホーンテッドルームがたちまち美術館になってしまう。
白亜の牢獄で窓枠にはまった十字の鉄格子の影が床に落ち、ジャンヌが一時の安らぎを得るも司祭が踏みにじる。
水面に鏡映しからのドボン。
こういうのが全編通して散りばめられててアーティスティックで素敵。
この時代って大体歌舞伎役者ばりのメイクアップだけど、ノーメイクな所に普遍性を感じる。顔の表情で語らせるんだから、メイクはたしかに邪魔だね。時代性感じる厚化粧も好きなんだけど。
熱と瀉血で意識朦朧の中、目の前にご褒美ぶら下げて、寄って集って署名をねだるオジさんたち。悪魔の手先って言われても仕方ない。
死のイメージに掘り返され蛆の湧いたドクロからの、生のイメージとして野原の花々。
全てを覚悟した上での火刑。
見届けましょう。
その後、暴動が起き鎮圧する為に用いるのが、モーニングスター!生きて帰す気無し。
統合失調症のトランスジェンダーだって言う人もいるみたいですが、個人的には600年前の人だし、神憑りのメッセンジャーでいいと思うのですが。
1人の人間としてジャンヌ・ダルクを描いた意向を汲んで、今回の縛りプレイには組み込まないことにしました。