いの

月光の囁きのいののレビュー・感想・評価

月光の囁き(1999年製作の映画)
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空色がピンクのパケ写に騙されまちた。よーくみたら、パケ写はちゃんと物語ってたわ。


自分が変態だと十二分に理解している男子は、この世でいちばん大切な女の子から「変態!」と蔑まれたとき、“この女の子は誰よりも自分のことを理解してくれてる”とよろこぶものなんだろうか。


わたしたち映画ファンは、どうやら“変態”をめっっちゃ肯定的にとらえて、変態が映画に出てくると 待ってましたとばかりよろこんで歓迎してしまうところがありますね。まるで同胞を受け入れるかのように両手を広げてしまうところがある。そのことにやっと気づきましたw。でもこの映画は、高校生の男の子と女の子の話だからと、そこを既に通り抜けてきた者として、やや上から目線で見守ってるような心持ちでいると、とんでもない返り血を浴びることになります。高校生の男女だからと甘くみる勿れ。これがオトナのカップルだったら、“変態”よりも“痴話”というワードの方が合ってる気がする。なんか書いてるうちに『死の棘』の狂気を思い出してしまった。ぞぞぞ。今作は、“変態”という愛すべき世界の境界線をスッと越えて、“狂気”の方にいっちゃってる可能性もアリ。


変態君から偏愛されているサツキの苦しみ。サツキがする罵倒は、こんなに酷いわたしを変態君はそれでも愛することができるのか?と問うてもいる。彼の偏愛を試してる。と同時に、彼女自身の心の中にある変態→狂気を自分で受容できなくて苦しんでいるようにも見えた。ざ・修羅の道。


押し入れから聴く喘ぎ声。ねちょねちょとしたキスの音など、こちらもつい音に敏感になってしまう。変態君=偏愛君の下半身がいちども勃っ、もとい、たってないのは何故? それはさすがにやり過ぎになっちゃうのかしらね。足指ぺろぺろはするのに。


パケ写といい、主題歌スピッツといい、いったい何やってるんですか笑笑? 性癖や激情や葛藤を丸め込んだ、その確信的な装いにはアッパレ!と言うより他ありません。ちょっとわたしはこの映画みてどうしたらいいのか、まだ途惑ってる途中段階。綿矢りさがこの映画好きなのはごもっともだと思う。「ひらいて」とどっか繋がってる。激しく理解www
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