【どこまでもいこう】
駄目になる前の塩田明彦監督作品。これがデビュー作。ヒロインのつぐみにコテンパンにしごかれる変態主人公の少年が滑稽ながらも哀愁ある名演技を披露している。
ある意味、ブラック・コメディ。😁
原作が青年漫画なので現実感皆無なコミック調で進行する。ダークな青春映画で井口昇の『恋する幼虫』と互角の傑作。主題歌はスピッツが担当。
塩田明彦は主演女優を魅力的に描かせると巧い監督だと思っている。そこが同じシネフィル監督の黒沢清や青山真治とは決定的に違う。
内容的には『奇跡の海』や『ピアニスト』にも近いイビツな愛の寓話って感じである。抑制された長回しカメラワークも素晴らしい。
宮崎あおい主演の『害虫』もそうだけど、この監督は変態性を導入し(たぶんに意識的)そういう映画を求める客層に向けて作ってる気がする。(おれ含む)