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サンマデモクラシーのkyokoのレビュー・感想・評価

サンマデモクラシー(2021年製作の映画)
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米軍占領下の沖縄で、サンマにかけられた不当な関税に対して、魚卸屋の女将・玉城ウシが起こした「サンマ裁判」が、やがてアメリカから自治権を取り戻そうという、民衆の大きなうねりへと変化していく。この一連の流れを描いた沖縄テレビによるドキュメンタリー。
いかにもひとりの糸満女による豪傑譚といった感じの予告だったけど、佐藤栄作に顔が似ているという以外、ウシに関する具体的な情報は何もなく、彼女が裁判でどんな発言をしたのかぜんぜん分からない。彼女の人間性は、沖縄の咄家による「こうだったんじゃないかしら」な噺が補うしかなく、弁護士・下里恵良のエピソードドラマも含めて、ドキュメンタリーでありながら想像でしかない箇所が多すぎる。
「爆笑珍騒動!」のどこを指して爆笑なのかも謎、無理やり感のあるセンチメンタルなラスト、川平慈英による川平慈英丸出しのナレーション……過剰な演出は蛇足にしか思えなかった。

琉球政府による一定の自治権を与えながら「沖縄の自治権は神話」といい放った高等弁務官キャラウェイ。基地問題に翻弄される沖縄の姿を予言しているかのように、いまだ沖縄はまやかしの民主主義の中にいる。
「本土は二枚舌」……これもまたキャラウェイの言う通り。
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