ぶみ

スパゲティコード・ラブのぶみのレビュー・感想・評価

スパゲティコード・ラブ(2021年製作の映画)
3.5
誰もいない森の奥で、一本の木が倒れたら、音はするか。

丸山健志監督、倉悠貴、三浦透子、清水尋也、八木莉可子、古畑新之、青木柚、xiangyu、香川沙耶、上大迫祐希、三谷麟太郎、佐藤睦、ゆりやんレトリィバァ、土村芳等の共演による群像劇。
東京で生きる13人の若者たちの姿を描く。
フードデリバリー配達員やシンガーソングライター、広告クリエイター、カメラマン、モデル、高校生といった年齢や性別、職業等、様々な人々を前述の13人が演じているほか、満島ひかり、甲本雅裕等も登場し、確かな存在感を見せてくれている。
観る前は、13人という登場人数の多さから、それぞれのエピソードやキャラクターが薄くなったり、とっ散らかったりしているのではないかという懸念が生じていたが、難しすぎず、かと言って単純すぎずと、絶妙なバランスを保ったまま物語は進行するため、そんな懸念は杞憂に終わることに。
また、多くのミュージックビデオやCMを手掛けてきた監督らしく、カット割りのスピードや、カメラアングル、テンポの速さは独特なものがあり、映画っぽくない雰囲気も醸し出している。
加えて、登場人物の吐く台詞が、時折しれっと奥行きのあるものとなっているのも憎いところ。
東京を舞台として、東京でしか成り立たない物語を、俳優陣の自然体の演技で描き出し、スパゲティコードのように絡み合った心情を携えながら、自分の立ち位置を、もがき探し出す若者の姿に、今を感じることができる力作。

だったら叫べ、生きてるうちに。
ぶみ

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