takanoひねもすのたり

スパゲティコード・ラブのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

スパゲティコード・ラブ(2021年製作の映画)
3.5
昨年の映画館納めはこちらの作品。

東京に住む10代〜20代の若者達の群像劇。

冒頭に登場する満島ひかりさんが彼らより上の世代のひとりの女性として登場します。
何処か生気が抜けたような虚無を漂わせており、彼女が象徴する表像は何を意味しているのか深く考えると少しぽっかりと空虚感を覚え。

物語はほんの少しずつ直接的には関わらないけれど、通り過ぎる誰かが誰かとすれ違うくらいの関係性です。

最後に全てが繋がってカチッと嵌まるタイプの物語ではなく、それぞれの登場人物がちょっとしたそれぞれの鬱屈を抱えながら、傷ついたり、凹んだり、あきらめたり、無気力になったり、現実と社会にあがいたり、妥協したり。

SNS、マッチングアプリ、パパ活、バイト、モラトリアム、悪口、占い師に投げ銭突っ込む失恋OL、希死念慮を持つJKと天然なDKの不毛な会話、何処かで通ってきたような、それぞれのエピソード。
(カメラマンの彼が意外と常識人で女の子に付け込む奴じゃなかったのが意外に好印象)

なんていうのかな……気負いなく、するんと観れる群像劇でした。
エモーショナルな作品も何かを考えさせられる作品もそれぞれ良いのですが、たまにはこんな風に気持ちを消耗することなく、爽やかな着地に微かに表情筋が柔らかくなっている物語も落ち着くなあ……と思った作品でした。