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ONODA 一万夜を越えてのmiのネタバレレビュー・内容・結末

ONODA 一万夜を越えて(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

不思議なことに1日経っても台詞のひとつひとつを覚えているし、思い出して泣きそうになる。観てる間にあんな感情になったのは初めて。

小野田さんの勇ましさと忠誠心に圧倒されながら、観ている間に涙が止まらなくなった。武器も薬も限りがある中で30年近く時を共にした戦友と2人で寄り添ってラジオを聴き、そうしてる間に歳を取り、また電池を詰め替えて古くなったラジオを共に聴く。歳をとっても“隊長殿”と呼ばれ、武器をなくした友に怒鳴って悪かったと肩を抱いて詫びる。そんな一連のシーンが忘れられない。時代に取り残された2人の世界は2人の中でだけ完結していて、お互いにがかけがえのない存在であったのに、ついに1人になってしまった時に、そしてそのラジオがついに止まってしまった時に、小野田さんの孤独がこちら側に飛んできて、耐えられなかった。

話の内容だけでなく、ひとつひとつの描写や台詞、役者の顔がどれも良かったからそう感じたのだと思う。青年期と壮年期の入れ替わりに気付かないくらい、その空気感が同じだったのはびっくりした。

現代の私たちには小野田さんの30年を想像することすら出来ないのが悔しい。
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