梅というキーアイテムはピリッとした空気にひと息吐かせ、込められた意味合いも含めて素晴らしかった。
主演の2人も素晴らしかった。
塚地さん演じる忠さんは汚れなき自閉症。細やかな演技によってこういう人いるよね!という実在感を獲得していた。
そんな息子を無償の愛によって全面的に支えて生きる加賀まりこさん演じる珠子は聡明で賢く人生のお手本にしたくなるようなキャラクター。
ほのぼのとした描き方だがテーマは根深い。
自閉症と言っても忠さんのような大人しいタイプがいる一方で四六時中暴言を吐き散らす攻撃的なタイプもいる。前者はこっち、後者はあっちとゾーニングすれは良いと思うがグラデーションがあってその中間層をタイプ別けする事が不可能にちかい。その辺が波乱や軋轢の原因なんだろうなと思う。
グループホーム反対派の中にモデルケースとして兎に角事を大きくしがちな典型的な無理解ヒステリック大袈裟・難癖ババァが描かれていて反対派はもっと歩み寄れよ!みたいなバイアスになってたが、毎晩うるさくて眠れないと訴えるおじいさんの主張は普通に正当なものでどうにかしてやりたい。一概に反対派全員悪ということでもない。
行政は責任放棄で現場である役所に制限を設けた上で色々やらせ過ぎ問題もあるよね。
そこを改善するのが1番現実的に思えるが現状を見ると絵空ごとにも思えて振り出しに戻る。
多様な人間性による軋轢や分断問題に深く切り込んだ「クラッシュ」もおすすめ。