このレビューはネタバレを含みます
阿部和重の小説「ブラックチェンバーミュージック」で、キーアイテムとなるヒッチコック試論、このヒッチコック論、実は作家になる前の阿部和重自身が書いたもので、そこには初期作から遺作である、このファミリープロットまでにおける、ヒッチコック映画の階段の役割について語られている。
全文がnoteで公開されているので、ぜひ一度読んでみて欲しい。
そして、この試論において、この映画はニセモノがホンモノへの変貌を遂げて成功する珍しい映画であると語られている。
小説から、この映画を知り,興味をもってやっとの事で見ることができた。
そして、論の通り、最後のシーンで、ニセモノのインチキ霊媒師がホンモノの力でダイアモンドのありかを見つけることができる。しかも,階段を登ることで。
そのシーンを見れただけで満足だった。
霊媒師が、金持ちに相続人として甥っ子を探してくれと頼まれ、甥っ子を探す。
その甥っ子は、育ての親を放火で殺し、今は名前を変え、宝石商をしながら、誘拐もしている犯罪者だった。
その霊媒師側と宝石商側が近づきながら、最後には、霊媒師が勝利するというお話。
綺麗なサスペンス。