くろーぜっと11

ファミリー・プロットのくろーぜっと11のレビュー・感想・評価

ファミリー・プロット(1976年製作の映画)
4.0
名匠ヒッチコックの遺作。
サイレント期からの監督で50数本、ほぼサスペンス映画ばかりを撮ってきてあまりにも有名な監督だけど、その遺作がこの作品であることは結構衝撃的である。

もちろんすごくおもしろいしサスペンスなんだけど、いつもの恐怖とか緊迫感がどこ行ったという感じでむしろおちゃらけたムードが漂う(裏窓とかもわりとそうだけど)。

謎だ。
ヒッチコックはこの映画を撮っている時すでに体がだいぶ不調で歩くのもままならなかったのだから、これが遺作となることも考えたはずだ。

当然ファンが期待するのはヒッチコック最後の一大サスペンスだろうなとも想像するだろう。

そして作ったのがこの作品である。
非常に興味深いよね。
一つ考えられるのは、
前作のフレンジーがめちゃくちゃ怖くまた気持ち悪いほど(サイコや鳥とも違う意味)で、それは従来のヒッチコックとは異質なものでもあったことが影響しているのかもしれない。
ヘンタイ感が生々しくておそらく抗議のようなものもたくさんあったはずだから、ちょっとこう言うイメージで死にたくないよなみたいな。その反動で遺作としては楽しい印象を残したかったのかなと。

映画と関係ないどうでもいい憶測を書いてしまったけど、ファミリープロットはとても良い映画なのでおすすめなのは確か。

2組の犯罪カップルの対決というのは映画史的にもかなり珍しい内容だと思う。

ヒッチコック、たくさんの本当に楽しい作品をどうもありがとう。