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ファミリー・プロットのnowstickのレビュー・感想・評価

ファミリー・プロット(1976年製作の映画)
3.9
ヒッチコックの遺作で、同氏のコミカルな変化球作品の中では最も面白かった。
DWグリフィスのラストミニッツレスキューをクライマックスだけでなく、全編に渡って引き伸ばしたような構成で、カットバックのカメラワークと編集が素晴らしかった。作品のテイストとしてはルビッチのスクリューボールコメディみたいで、リアリティを上げるのが苦手なヒッチコックにとって、このテイストは合っているのだろう。
脚本はアーネストレーマンで、個人的には同氏が脚本を書いた「北北西に進路を取れ」よりも面白かった。

音楽はジョンウィリアムズで、ヒッチコックに「暗いシーンにこそ明るい音楽をつけるべき」だと言われたらしい。
チャップリンも「キッド」の音楽制作において同じことを言っており、黒澤明と早坂文雄も「酔いどれ天使」の音楽制作において同じようなことを言っていることから、この手法は「正解」なんだろう。

ラストシーンもかなりオシャレで、ヒッチコックは本作で有終の美を飾れているだろう。
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