Aircon

スターダストのAirconのレビュー・感想・評価

スターダスト(2020年製作の映画)
3.6
論点はしっかりあるし、デヴィッドボウイのとくにジギースターダスト期の出来上がりと家族に関係してる。
彼自身のある意味でカッコ悪いところというか天然のスターになれないからこその発想の転換みたいな部分。

とにかくデヴィッドボウイの名曲が流れるべきところで違う曲なのが痛い。
エンターテイメント要素がかなり地味になってしまっている。

主人公の顔が本物よりだいぶナイーブそう。
デヴィッドボウイの”顔自体は”もう少しサイコパスっぽくて、少し怖い感じの成分が多い。
怪鳥とか恐竜みたいな要素。


だけど、ここまで酷評されるほどか、とも。
デヴィッドボウイの性格をどう考えているかによると思うけど、もともと、突き抜けたイカれたロックスターになれない残念な性格で、そこをハッタリとメディア戦略と大胆な発想と芸術的な感性で乗り越えた人だと思っていたので、こういう性格のナイーブな部分はデヴィッドボウイの魅力的な要素の一つだと思う。

なんとなく奇抜な天才タイプだと思っている人が多いのかな。
割とセコイ炎上商法とかする努力の人だと思ってる。
ハッタリやって怖くなったり、本物になれなくて苦しんだり、その試行錯誤を無限に繰り返していて、それはある種のプレッシャーに突き動かされていたんだと思う。
ビビりの野心家が、それでも野心が強すぎてビビりを克服してしまうところがデヴィッドボウイの共感ポイントでもあり、危うさでもあって、主観のそのスリリングさは天然の天才にはない。
養殖と言うと言い過ぎだけど、それが逆に良い。

なので、デヴィッドボウイを語るうえでこの要素は欠かせないと思うので、この視点はもっと映画化されるべき。
遺族もなんで反対するのかわからん。
「パブリックイメージを作る」という、デヴィッドボウイのやっていたことの続きがあるのか、遺族が勝手にやってるのか、この程度の論点ですら反対するのはちょっと過保護すぎないか?
死後、東照宮にワープしたとか、神になったとかまわりの人間がやってる徳川家康的な。(家康は本人がやらせてるんだけど、これはどっち主導なんだろ。)
Aircon

Aircon