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The Comedy of Terrors(原題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

The Comedy of Terrors(原題)(1963年製作の映画)
3.9
悪徳な葬儀屋 vs 絶対に死なないオッサン!

最高にアホで笑えるホラーコメディ。家賃が払えなくて立ち退き寸前の葬儀屋が使用人と一緒に他人の家に忍び込んで殺人→朝まで家の前で待機→悲鳴が聞こえたら駆けつけて介抱のフリ→「実は私たち葬儀屋なんです」の自給自足スーパーコンボで確変中!これで家賃完済するぜ!って意気込んでたら、絶対死なないオッサンが現れて…

しかもこの絶対死なないオッサンは大家さん。スーパーコンボで大儲け→家賃払うの勿体ない→大家殺せば良いじゃん!っていう、イかれまくった思考回路を持つ主人公を演じるヴィンセントプライスの胡散臭い演技は毎度のことながら圧巻!そして、コンビを組む使用人はピーターローレ。ローレは銀行強盗で捕まった過去があり現在脱走中。それをプライスに脅されてイヤイヤ協力。『黒猫の怨霊』『忍者と悪女』とAIPのコーマン×ポーシリーズでの名コンビ再び!感あって、ほんとこの2人の掛け合いが面白い!

一方、オペラ歌手を夢見るプライスの奥様は、音程とかいうくだらない概念を超越した美声(笑)で部屋のグラス全割りする大器晩成型。そしてこの夫婦と同居してるボリスカーロフ演じる奥様の父親は先代の葬儀屋。もう老ぼれで、葬儀の司会的なのするにも故人の名前も性別も覚えてなくて「Mr.…Ah…Mrs…Ah…you know who👍」とか言って誤魔化す始末。鬱陶しいから、プライスが毒薬を飲まそうとして奥様が止めるまでが毎日のルーティンになってるんだけど、それ見てカーロフが「なんでワシの薬を奪う!お前らワシに死んでほしいのか!」とショック受けるという。どいつもこいつもキャラが濃すぎる!

そんなこんなで冒頭文のバトルに発展するんだけど、この肝心の不死身大家までキャラが濃すぎるので、キャラ渋滞なんてどころじゃなく破茶滅茶すぎてサイコーだった!地味にずっと2人について回るクレオパトラ(ネコちゃん)が超可愛いので癒しまで提供してくれる贅沢な映画でした!

ちなみに監督は『キャットピープル』『私はゾンビと歩いた!』『レオパルドマン』の巨匠ジャックターナー。ターナーさんこんなのも撮るのか!😂

この時期のターナーは映画から離れテレビの仕事ばかりをしていて、本人も報酬は出るが芸術的には報われないと感じていたらしい。そこにAIPのコーマン×ポー路線でホラーとコメディの融合に可能性を感じていたリチャードマシスンが本作の脚本を書き、ターナーを推薦したとのこと。ターナーも恐怖と滑稽の融合に興味があったこともあり実現に至ったらしい。

そのせいもあり、コーマン×ポーの映画群に非常に近い雰囲気を感じる。いつも通り『早すぎた埋葬』が元ネタのひとつになっているし、『黒猫の怨霊』内の『人を眠らす妖術』のセリフが笑いのネタとして登場するし、やたらとついてくるネコちゃんも『黒猫』を笑い方面に持っていったらこうなるだろうなっていう感じのやつ。コーマンとの違いを比べるとまた面白くなる良い作品でした!
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