耳が聞こえず、軽度の知的障害を患った母と娘が、なぜか自分のことを頭が良いと思っているマヌケな殺人鬼と夜の廃墟で鬼ごっこをする話。
という設定がありつつ、実際にはそういった社会的弱者に対しては、今の社会は警察はもちろんのこと一般の人たちも誰も手を貸そうとせず、結局は自分でなんとかしていくしかない現状を描いている。
特に殺人鬼と一緒に鬼ごっこをしていたお兄ちゃんは、表向きは善人である振りをしながら、実際には何の役にも立っていないという実社会の様相そのものを描いており、心は動かされないが、どうしようもないという同情にも近い念は抱いた。
登場人物の行動原理が共感できないというのは、こういった設定の映画ではどうしようもないことで、そこについては特に何も思わなかった。