一人旅

わんぱく戦争 デジタルリマスター版の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
イヴ・ロベール監督作。

フランスの作家ルイ・ペルゴーによる1912年発表の小説「ボタン戦争」を『ぐうたらバンザイ!』(1969)等で知られる喜劇の名手イヴ・ロベールが1961年に映画化したもので、子供同士の争いを瑞々しく描写した少年期映画の名作です。

南フランスを舞台に、隣村同士の二つの少年グループの争いの顛末を描いた青春喜劇の名篇で、些細なことがきっかけとなって少年総動員の全面抗争へと突入していく少年たちの姿を自然豊かな南フランスの田舎風景に乗せて描き上げています。戦いの戦利品として敵少年の“ボタン”を奪取したり、資金を集めて拠点となる秘密基地を建造したり、父親の馬やトラクターを拝借して戦いに活用したり…と子供ながらに“ガチ”な戦略的な戦争を繰り広げていく悪ガキたちの顛末をユーモラス&大らかなタッチで瑞々しく軽快に映し出しています。

少年同士のプライドを賭けた全面戦争のゆくえを、団結心と対抗心、裏切り、和解と友情といった屈託のない少年心理と共に活写したイヴ・ロベール初期の名篇で、子供らしく後腐れのない結末が清々しい余韻を残してくれます。
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