菩薩

フランスの菩薩のレビュー・感想・評価

フランス(2021年製作の映画)
3.5
如何にもポスト・トゥルース時代の視線の映画と言った趣で正直語るのも億劫…と言うか意味無いでしょと言う気になってしまうが、大事な独白場面で露骨に乳を寄せるレア・セドゥの谷間に釘付けになっていたらちょうどそれが上手に隠れる様にカメラが顔面に寄っていってクソがぁー!!!!!となった、カメラはもう真実を映す代物では無い(?)。騙していた側が騙される側に回る、それでも彼女が虚構の彼女を演じ続けるのはそれが望まれた彼女の「真」の姿である事を理解しているからだろう、大衆は常にセンセーショナルな悲劇を欲し、涙はそこに彩りを添える。真っ白に顔を塗りたくり真っ赤な口紅で染めようとも一転してドすっぴん(風)であろうともそこはやはりレア・セドゥであり、大事なのはその「目」であるが、そこから零れ落ちる涙の意味と価値は次第に薄れ遂には消失する。全てを失った後でも尚悲劇を見つめる事をやめない彼女、戦場ですら「自撮り」をやめなかった彼女が写真撮影を断ったのには大きな意味があろうし、彼女が「美しい」と言った場所は一見するとそんな事はまるでないが大きくカメラが引くと確かにそう言えなくもない。目の前で突発的に起きた破壊行為にふと漏れる「笑み」、ジャーナリズムの真髄は涙を流す事よりも無意味な暴力に対し嘲笑をくれてやる事なのかもしれない。
菩薩

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