脳卒中を契機に自らの死期を決めることにした父親と娘二人のはなし。
最近父を亡くした自分にとって胸を締め付けるようなテーマだった。
他のレビュアーさんのレビューを拝見していて「この映画をメッセージではなく考える機会に」との監督もメッセージがあると知り、色々と合点がいった。
自分の親が身支度というのか、現世で残された家族に出来ることを全てしてくれた挙句、あっさりと逝ってしまったことがありが感謝もするのだけれど、なんとも寂しかった感覚を思い出す。
生に固執しないことと、この世に未練がないこととイコールかはわからないけど、遺されることになる子どもたちにも未練がないということなのか?…と映画を観ながらずっと考えていた。
親も子も未練たらたら、最後は手を取り合い、今にも尽きようとしている父との別れに涙したり、父の生命を奪わんとする何かを呪いながら抗って見せてくれたら納得したのかと言われたらそれもわからないのだけれど、こんな姿はもう私ではない、延命と生きることは違う…そう話し、尊厳死を選ぶお父さんの意思、プライドも痛いほど分かった。
でも死生観の違いなのか文化の違いなのか、死に関する表現が考察的というのか、奥ゆかしくて涙まではでなかった。
フランス語が全くわからないのだけれど、最後の「さようなら」はどのくらいの「さようなら」だったんだろう。。
色々な思い出や時間を総括するような「さようなら」であってほしい。
私は父にきちんと、さようならもありがとうも伝えられなかったので、何が最良の別れなのか…監督のメッセージどおり考える機械にすることができたし、これからも考えていくのだと思う。
お父さんお茶目すぎ…もっと笑いたかった。