コーディー

レッド・ロケットのコーディーのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.4
懲りず変わらずなのに何故かこの愚か者に惹きつけられる…
利己的な元ポルノ俳優が形振り構わず口先と下半身で満たそうとする自尊心。そんな他力にすがる憐れな虚勢と陽気な生命力、テキサスの陽光と煙に包まれた不様な男の闘いを、それでも見届けたくなる至高のクズ映画。傑作!

過去の栄光に浸りながらも今や薬の力が必要なマイキーの不完全さ、そしてTVからは大統領候補トランプの〝偉大なる米国〟演説が虚しく響いてくる。
夢の果ての哀愁が滲む中、そんな彼を再び奮い立たせるストロベリーちゃんとの出会い、薬要らずな欲望に目が眩む…と、要するにクズやけど嫌いになれないw

嘘バレバレなのに気付けば懐に入り込まれる様な、これがポルノ俳優の処世術かは知らんがw笑いと不快を綱渡りしながらクズの視点に繋ぎ止めるサイモン•レックスの魅力が凄い!
そして彼を更にダメにするストロベリーちゃんを演じたスザンナ•サンの眩し過ぎる魅惑エネルギーにも正常な感覚を奪われるw

『タンジェリン』『フロリダ・プロジェクト』と比べても遥かに共感性の低い物語やけど、なんて事ない町のなんて事ない人間をまるでドキュメンタリーのように切り取りながら、自転車をフラフラ走らせるマイキーにまで興味を持たせるwショーン•ベイカー監督の一貫した人生の描き方が堪らなく好き!