Layla

3つの鍵のLaylaのレビュー・感想・評価

3つの鍵(2021年製作の映画)
3.8
1つの事件から浮き彫りになる3家族のひずみや綻びを10年のスパンで描いたイタリア映画。

上映後に、家族問題に長年取り組んで来られたという精神科医の斎藤学先生の解説付きで鑑賞。
作中に登場する主に男性陣を精神医学の観点から、あいつはダメ、奥さんは出て行って正解、とバッサバッサと切っていて面白かった。
先生曰く、親の、子供に対する役割は3つ。1つは抱きしめること、2つめは規制を設けること、3つめは子離れすること。これらのどれが上手くいかなかったり、父または母に配分が偏りすぎているがゆえに家族に歪みが生じてしまうのかを考えると、映画に出てきた家族がさらに興味深く思えた。

10年の時の流れの中で旧来の価値観や自分が正しいと思う考えから抜け出せないダメダメな男性陣に対して、その役割から逃れて自分なりの生き方や幸せを得ようと模索する女性たちが対比的。
斎藤先生も、イタリアの女性の微笑みはモナリザの微笑み。悲しいのか幸福なのか表情が読めないけれど確かに自己肯定をしているあの微笑みには不思議な魅力がある、と仰っていたのが印象的だった。

認知症の方に対する世間の残酷な目、理解のなさという点では「ファーザー」も思い出した。
Layla

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